「制度が変わると聞いたが、いつからなのか」 ——2026年6月に改正法が公布されてから、最も多くいただくご質問です。
施行日はまだ決まっていません。 そして、成年後見をめぐる制度変更は改正民法だけではなく、社会福祉法の新しい事業と家庭裁判所の手続きのデジタル化が同じ時期に重なります。3つの動きを一度に整理します。
改正民法の施行日はまだ決まっていません
改正法(令和8年法律第45号)の附則は、施行日を「公布の日から起算して2年6か月を超えない範囲内において政令で定める日」と定めています。公布日が2026年6月24日ですので、遅くとも2028年(令和10年)12月24日までに施行されることになります。
この「政令で定める日」が、2026年9月の時点でまだ公表されていません。 「2028年◯月から変わります」と書かれた情報を見かけても、現時点では確定していない点にご注意ください。
なお、成年後見と同時に見直された遺言の部分は、施行日が別に定められています。 同じ改正法の中で、次のように分かれています。
| 内容 | 施行の時期 |
|---|---|
| 成年後見制度の見直し(後見・保佐の廃止と補助への一元化、利用の終了、任意後見の見直しなど) | 公布から2年6か月以内の政令で定める日(〜2028年12月24日) |
| 遺言の押印の任意化など | 公布から1年以内の政令で定める日(〜2027年6月23日) |
| 保管証書遺言の創設など | 公布から3年以内の政令で定める日(〜2029年6月23日) |
あわせて、後見に関する用語を各法律で置き換える整備法(令和8年法律第46号)が成立しており、61の法律が対象です。こちらは原則として改正民法と同じ日に施行されます。
同じ時期に重なる、もう2つの動き
① 社会福祉法の新しい事業
2026年に成立した社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)で、頼れる身寄りがいない高齢者等への支援が第二種社会福祉事業として法律上に位置づけられます。日常生活支援・入院入所の手続き支援・死後事務支援の3つです。
施行は、その他の見直し事項が原則として令和9年(2027年)4月1日、死後事務支援を含む新事業は公布後2年以内の政令で定める日とされています。
あわせて、成年後見制度や地域の権利擁護事業を適切に使えるよう支援する中核的な機関として、市町村に「地域権利擁護相談支援センター」を設置できるようになります。 相談への対応と、関係機関の連携体制づくりを担う窓口です。こちらは原則として令和9年(2027年)4月1日の施行で、3つの動きのなかでは最も早く動き出します。
この事業は、成年後見の「出口」に関わります。 改正民法では、必要がなくなれば後見の利用を終えられるようになります。そのとき、日常的な金銭管理を誰が支えるのかという受け皿の一つが、この新事業です。2つの改正は、セットで設計されています。 内容は身寄りのない高齢者を支える新しい公的制度が始まりますでご説明しています。
② 家庭裁判所の手続きのデジタル化
家事事件手続のオンライン申立て等を含むデジタル化(令和5年法律第53号)も、同じ時期に予定されています。
法務省の資料では「公布から5年以内の政令で定める日(具体的な施行日は今後決定)」とされ、最高裁判所の資料では「令和10年(2028年)6月までに施行される予定」と説明されています。こちらも具体的な日付は2026年9月時点で決まっていません。
申立ての方法が変わる可能性がありますが、手続きの実務は当法人が担いますので、ご家族の側で準備いただくことは特にありません。
いま考えておきたいこと
施行日が決まっていない以上、「いつから」を待つより、「何に困っているか」を整理しておくほうが実りがあります。 理由があります。
新しい制度では、補助人の代理権・同意権は「必要な行為ごとに」家庭裁判所が定める形になります。 「後見人を付ければ全部やってもらえる」という形ではなくなります。つまり、申立ての段階で「何のために、どの権限が必要なのか」を具体的に示すことが、これまで以上に大切になります。
ご家族でご相談いただく際は、次のような点を書き出しておいていただくと、面談が進みやすくなります。
- いま現実に困っていること(銀行の手続きができない、施設の入所契約が結べない、遺産分割が進まない、など)
- その手続きが終わった後も続く課題があるか(年金の管理、施設利用料の支払い、自宅の管理など)
- ご本人のご希望(どこで暮らしたいか、誰に任せたいか)
- ご家族のなかで支援に関われる方がいるか
3のご本人のご希望は、改正後に重みを増します。家庭裁判所が補助人を選ぶ際に考慮する要素の冒頭に「本人の意見」が置かれ、補助人にも、ご本人に情報を提供して意向を把握するようにする義務が定められるためです。
「制度が変わるまで待つべきでしょうか」
やるべき手続きが決まっている場合は、待たずに進めていただくことをお勧めします。
施行日は最長で2028年12月まで先になる可能性があり、その間にご本人の判断能力や生活の状況が変わってしまうことのほうが、現実的なリスクです。また、いま後見・保佐を利用されている方は、施行後に「そのまま続ける」「補助へ移る」「利用を終える」から選べますので、現行制度で始めたことが無駄になるわけではありません(→いま後見・保佐を利用されている方へ)。
なお、改正法の附則には、施行後3年を経過した時点で、政府が施行の状況について検討を加える旨の規定も置かれています。制度はこの先も動きます。当センターでは一次情報を追い、内容が確定した段階でこのページを更新します。
まとめ
- 改正民法(成年後見の部分)の施行日は未定。遅くとも2028年12月24日までに政令で定める日から施行されます
- 同じ改正法でも、遺言の押印の任意化は1年以内、保管証書遺言は3年以内と施行時期が分かれています
- 社会福祉法の新しい事業(原則2027年4月1日/新事業は公布後2年以内)は、後見の「出口」を支える受け皿になります
- 家事事件手続のデジタル化は令和10年6月までに施行される予定で、日付は未定です
- 待つより、「何に困っているか」を書き出しておくことが、新制度での申立ての準備になります
ご相談ください
「すぐに動くべきか、待ってよいか」の見立ても含めて、面談でご説明します。ご本人が奈良県内にお住まいでない場合もご相談ください。
初回相談は無料です。
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