成年後見制度が変わります|2026年改正の全体像と影響を解説

2026年(令和8年)6月17日、成年後見制度を見直す法律が国会で成立し、6月24日に公布されました(令和8年法律第45号)。「後見」「保佐」という区分がなくなり、必要がなくなれば利用を終了できるようになるなど、大きな見直しです。

ただし、まだ施行されていません。施行日はこれから政令で決まります。今すでに後見・保佐を利用している方、これから申立てを検討している方それぞれへの影響を、当センターが整理してご説明します。

2026年6月、成年後見制度の見直しが決まりました

改正法の成立・公布と、今後の施行スケジュールは次のとおりです。

内容時期
法案の国会成立2026年6月17日
公布2026年6月24日(令和8年法律第45号)
施行未定(公布から2年6か月を超えない範囲で、政令で定める日)

つまり、今日ご相談いただく案件には、まだ現行の制度が適用されます。施行は早くても2028年ごろになる見通しです。

なぜ制度が見直されることになったのか

現行の成年後見制度は、2000年(平成12年)の施行から約四半世紀が経ちました。この間、次のような課題が指摘されてきました。

  • 利用のきっかけになった課題が解決しても、判断能力が回復しない限り利用をやめられない
  • 成年後見人には包括的な代理権・取消権があり、本人の自己決定が必要以上に制約される場合がある
  • 本人の状況の変化に応じた後見人の交代が実現しにくい

こうした課題を受け、2022年3月に閣議決定された「第二期成年後見制度利用促進基本計画」で見直しの検討が始まりました。同年10月には、国連の障害者権利委員会から日本に対し、意思決定を代行する制度の見直しを求める勧告も出されています。

これを受けて2024年2月、法務省の法制審議会に「民法(成年後見等関係)部会」が設置され、2024年4月から2026年1月まで計33回にわたって審議が行われました。2026年2月に要綱が決定し、法案としてまとめられたうえで、6月の成立に至っています。

何が変わるのか(5つのポイント)

①「後見」「保佐」が廃止され、「補助」に一元化されます

現在の制度は、判断能力の程度に応じて後見・保佐・補助の3つに分かれています。判断能力を欠く常況にあると認定されると、後見しか選べず、後見人が包括的な代理権と取消権を持つことになります。

改正後は、この3類型が「補助」に一元化されます。そのうえで、必要な行為ごとに個別に、補助人に代理権を与えるかどうかを家庭裁判所が決める「オーダーメイド方式」になります。

「遺産分割をするために後見人を付けたいだけなのに、生活のすべてを管理されることになる」という状況が避けられるようになります。なお、判断能力を欠く常況にある場合には、例外として、法定の重要な財産行為をいずれも取り消せる「特定補助」の仕組みを選ぶこともできます。

②必要がなくなれば、利用を終了できるようになります

ここが最も大きな変化です。

現在は、利用のきっかけになった手続き(遺産分割や不動産の売却など)が終わっても、判断能力が回復しない限り、制度の利用をやめることができません。そのため報酬もご本人が亡くなるまで発生し続けます。

改正後は、制度を利用する必要がなくなったと家庭裁判所が認めるときは、判断能力が回復していなくても、利用を終了することができます。あわせて、補助人には家庭裁判所への年1回の状況報告が義務づけられ、その報告の際に必要がなくなったと認められれば、職権で終了させることもできます。

なお、「〇年ごとに更新する」という期間制ではありません。検討の過程では議論されましたが、成立した法律は「必要がなくなったら終了できる」という仕組みです。

③本人の意見がより重視されます

家庭裁判所が補助人を選ぶ際に考慮する要素の冒頭に「本人の意見」が置かれます(現行法では最後に規定)。補助人が職務を行う際も、本人に情報を提供し、本人から話を聴くなどして意向を把握する義務が明確化されます。

④後見人の交代がしやすくなります

解任事由に「本人の利益のために特に必要があるとき」が加わります。横領などの不正がなくても、面談をしないなど本人が適切な保護を受けられないときは、交代させられるようになります。

⑤死後事務の権限が広がります

補助人が行える死後事務の範囲が拡充されます(火葬・埋葬に関する契約、未払金の支払など)。

任意後見についても、監督人を選任せずに家庭裁判所が直接監督できる場合を設けるなど、法定後見との併用がしやすくなる見直しが行われます。

今すでに後見・保佐を利用している方への影響

原則としてそのまま継続できます。施行によって自動的に内容が変わるものではありません。新しい制度に移りたい場合は、補助の開始を申し立てたうえで、従前の審判を取り消すという手続きになります。

これから申立てを検討している方への影響

「制度が変わるなら待ったほうがよいのでしょうか」というご質問をよくいただきます。多くの場合、待つ必要はありません。

施行日はまだ決まっておらず、最長で公布から2年6か月先です。その間にご本人の判断能力や生活状況が変わってしまうことのほうが、現実的なリスクです。遺産分割や不動産の処分など、やるべき手続きが決まっている場合は、待たずに進めていただくことをお勧めします。

一方で、「必要がなくなれば終了できるようになる」という見通しは、ご家族が今後の見通しを立てるうえでの判断材料になります。ご不安な点は、面談の際にご説明します。

当法人が加盟する成年後見センター・リーガルサポートの受け止め

当法人の後見業務に携わる司法書士が加盟する公益社団法人成年後見センター・リーガルサポートは、要綱の決定を受けて2026年2月12日、理事長声明を発表しました。

声明では、今回の見直しを「本人中心の制度へと再構築する重要な一歩」として基本的に高く評価する一方、「特定補助人の規律が存在するなど、国連の障害者権利委員会の要請に完全に応えられたとは言い難い」とし、実務運用の明確化や支援体制の整備が今後の課題であるとも指摘しています。

同法人には約8,900人の会員が所属し、現在の成年後見制度の本人のおよそ4分の1にあたる約6万件の事件を受任しています。当法人も、この専門職団体の一員として、実務の動向を注視しながらご相談に対応してまいります。

まとめ

  • 2026年6月に成立、6月24日に公布された改正法(令和8年法律第45号)により、成年後見制度は「後見・保佐の廃止・補助への一元化」「必要がなくなれば終了できる」など大きく変わります
  • 施行日はまだ決まっていません(最長で公布から2年6か月先)。今日ご相談いただく案件には現行制度が適用されます
  • 今すでに利用している方は、原則としてそのまま継続できます
  • これから申立てを検討している方は、待たずに進めていただいて差し支えありません

ご相談ください

成年後見制度の利用を迷っている段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。改正の内容も踏まえ、現状に応じた選択肢をご説明します。

初回相談は無料です。
ご予約:0120-324-575(受付時間 平日9:00〜18:00/土日祝はご相談ください)

出典:法務省「『民法等の一部を改正する法律』(成年後見及び遺言の制度の見直し)について」/公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート理事長声明(2026年2月12日)

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